OligoDesign

バイオマスの研究

草木系のバイオマス

一般的にバイオマスの成分は、セルロース、ヘミセルロースとリグニンとなります。木は堅い構造をとり、奈良の法隆寺などにみられるように長い間風雨にさらされても頑丈で建築資材としても優れています。オリゴデザインでは草木系のバイオマスの研究を主に行っております。

バイオマスの構造は鉄筋コンクリートの建物にたとえられます。鉄筋コンクリートの建物は、鉄骨で囲まれた空間をコンクリートが埋めています。鉄骨は強靱ですが、コンクリートはそれ自身ではもろいといわれています。バイオマスの構造は、セルロースとヘミセルロースの結合が鉄筋コンクリートの鉄筋的な役割で、リグニンが空間的な隙間を埋め尽くすセメントとして鉄筋との相互作用により城壁的な役割を果たしています。

ここで初めてリグニンが出てきますが、リグニンはベンゼン環に水酸基がついた構造を基本としています。ウイスキーの香りをかぐとやや甘い香りがありますが、リグニン由来のバニリンで木質を構成するリグニン成分がウイスキーのアルコールにより溶け出したものです。また、ウイスキーの琥珀色の一部もリグニン由来です。

リグニンはベンゼン環から成り立つため、化学原料としての役割が期待されてきました。石油や石炭に含まれるベンゼンは植物のリグニン由来であり、その意味では兄弟の関係にあります。しかし、バイオマス中のリグニンが長い間の熱や圧力により変性を遂げて来たのが石油や石炭であり、草木系バイオマスに含まれるリグニンはいわば生の原料に例えることができます。

バイオマス中に含まれるリグニン、ヘミセルロースやセルロースはそれぞれベンゼン環原料、キシロース、グルコースへと変換が可能です。キシロースやグルコースはエタノールへ変換することで燃料となりますが、さらに化学的に変換することでナイロン原料であるアジピン酸などへも変換することが可能です。

これらバイオマス成分は、主として空気中の二酸化炭素を主原料として光り合成によりできた化合物です。したがって再生可能資源として注目されています。しかしながら、再生可能ではあるけれど、石油や石炭と比較すると原料からの加工費用が大きく、コスト的にはかなり困難だとの指摘もあります。

したがって、バイオマスの有効利用を目的としての研究テーマの基本は、三大成分である、リグニン、ヘミセルロースとセルロースの効率的で環境にも優しい方法で分離することが強く求められています。